特定口座の損益通算と繰越控除の仕組み|確定申告が必要なケースと手順を解説

特定口座で株や投資信託の売買をしたときに、利益と損失がどこまで自動で相殺されるのか、確定申告が必要になるのはどんな場合か、そして損失を翌年以降に繰り越す繰越控除の手順と注意点を、初心者にもわかりやすく整理します。こんにちは。もりおです。「損が出た年は何もせんでええんやろか…」と迷ったまま、申告の期限を過ぎてしまう方も少なくありません。今回は、特定口座の税金の仕組みを順番に確認していきましょう。


この記事におすすめの方々

・特定口座で株式や投資信託を売買している方
・複数の証券会社に口座を持っている方
・今年の売買で損失が出てしまい、税金の扱いが気になる方
・確定申告をしたことがなく、手順に不安がある投資初心者の方


特定口座って、税金の計算は全部証券会社がやってくれるんやろ?損が出たときも放っておいてええんやろか?
1つの口座の中なら、利益と損失の相殺はかなり自動でやってもらえますよ。ただ、口座をまたぐ場合や、損失を翌年以降に持ち越したい場合は、自分で確定申告をする必要があるんです。順番に見ていきましょうね。


1. 特定口座と損益通算の基本


1.1 特定口座とは何か


特定口座は、証券会社が1年間の売買の損益を計算し、「年間取引報告書」を作ってくれる口座です。
大きく分けて「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。


①源泉徴収あり:売却益が出るたびに証券会社が税金を差し引いて納めてくれるため、原則として確定申告は不要です
②源泉徴収なし:証券会社は損益の計算と報告書の作成までで、利益が出た場合は自分で確定申告をして納税します


国税庁によると、上場株式等の譲渡所得等にかかる税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。源泉徴収ありの口座では、この税金が自動で差し引かれます。


1.2 損益通算とは


損益通算とは、同じ年の中で出た利益と損失を差し引きして、課税の対象になる金額を減らす仕組みです。
たとえば、ある銘柄で利益が出て、別の銘柄で損失が出た場合、その差額だけに税金がかかります。


上場株式や株式投資信託、ETF、REITなどの「上場株式等」の譲渡損益は、この損益通算の対象になります。考え方としては、1年間のトータルの成績に対して税金がかかる、とイメージするとわかりやすいでしょう。


1.3 源泉徴収ありの口座で自動になる範囲


源泉徴収ありの特定口座では、同じ口座の中の売買であれば、証券会社が自動で損益通算をしてくれます。
年の途中で利益が出て税金が差し引かれていても、その後に損失が出れば、差し引かれすぎた税金が口座に戻ってくる仕組みです。


また、配当金や分配金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」にして特定口座で受け取っている場合は、配当金と売却損の通算も口座の中で行われます。受け取り方法が銀行振込などになっていると口座内では通算されないため、一度設定を確認しておくと安心です。


1つの口座の中やったら、払いすぎた税金が勝手に戻ってくるん?ほんまに?
そうなんです。源泉徴収ありの特定口座なら、同じ口座内の利益と損失は自動で差し引きされますよ。配当金の受け取り方法を「株式数比例配分方式」にしておくのがポイントです。

2. 確定申告が必要になるケース


2.1 複数の証券会社をまたぐ場合


特定口座の自動の損益通算は、あくまで「1つの口座の中」だけです。
A証券では利益、B証券では損失が出ているような場合、そのままでは口座同士の損益は相殺されません。


このようなときは、それぞれの証券会社から届く年間取引報告書をもとに確定申告をすることで、口座をまたいだ損益通算ができます。A証券で差し引かれた税金の一部が、申告によって戻ってくる可能性があります。


2.2 損失を翌年以降に繰り越したい場合


1年間を通して損失のほうが大きかった場合、その年は税金がかかりません。
ただし、そのまま何もしなければ、残った損失はその年で消えてしまいます。


損失を翌年以降の利益と相殺したいときは、源泉徴収ありの口座であっても確定申告が必要です。この「繰越控除」については、次の章で詳しく見ていきます。


2.3 通算できないものに注意


損益通算には対象外になるものもあります。代表的なものを確認しておきましょう。


①NISA口座の損益:NISA口座はもともと非課税のため、そこで出た損失は特定口座の利益と通算できず、繰り越しもできません
②FX・先物取引など:上場株式等とは別の区分で課税されるため、株式の損益とは通算できません
③給与所得など:株式の譲渡損失は、給与所得や事業所得とは差し引きできません


「損が出たから全部の税金が安くなる」というわけではない点に気をつけましょう。


NISAで損した分は、特定口座の利益と相殺できへんのか…ちょっと残念やなあ。
そうなんです。NISAは利益に税金がかからない代わりに、損失も税金の計算ではなかったものとして扱われます。口座ごとの性質を理解したうえで使い分けることが大切ですよ。

3. 繰越控除の仕組みと手順


3.1 繰越控除とは


繰越控除とは、損益通算をしても引ききれなかった損失を、翌年以降に持ち越して、将来の利益と相殺できる仕組みです。
国税庁によると、上場株式等の譲渡損失は、確定申告をすることで翌年以後3年間にわたって繰り越すことができます。


たとえば、ある年に大きな損失が出て、翌年に利益が出た場合、繰り越した損失をその利益から差し引けます。その結果、翌年の利益に対して差し引かれた税金が戻ってくる可能性があります。


3.2 繰越控除を受けるための手順


繰越控除を受けるための大まかな流れは次のとおりです。


①年間取引報告書を用意する:証券会社のサイトなどで、特定口座の年間取引報告書を確認します
②損失が出た年に確定申告をする:確定申告書と、株式等の譲渡損失の繰越控除用の付表を作成して提出します
③翌年以降も毎年申告を続ける:繰り越した損失を使い切るまで、売買がない年でも連続して確定申告をします
④利益が出た年に損失と相殺する:繰り越した損失を利益から差し引き、払いすぎた税金の還付を受けます


国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力することで、必要な書類を作成できます。


3.3 よくある落とし穴


繰越控除で特に注意したいのが、「途中で申告をやめてしまう」ケースです。
損失を繰り越している間は、売買をしなかった年でも確定申告が必要になります。1年でも申告が途切れると、それ以降は繰り越しが続けられなくなるため注意しましょう。


また、確定申告で株式の所得を申告すると、条件によっては国民健康保険料や、配偶者控除・扶養の判定などに影響する場合があります。気になる方は、お住まいの自治体や税務署で確認しておくと安心です。


損を繰り越してる間は、売買してへん年でも申告せなあかんのやね。うっかり忘れそうやなあ…。
そこが一番のポイントなんです。カレンダーに確定申告の時期をメモしておき、年間取引報告書が届いたら早めに準備を始めるのがおすすめですよ。

4. まとめ


4.1 今回のポイント


特定口座の損益通算と繰越控除について、ポイントを振り返っておきましょう。


①同じ口座内なら自動:源泉徴収ありの特定口座では、口座内の利益と損失は自動で通算されます
②口座をまたぐなら確定申告:複数の証券会社の損益を通算するには、自分で申告が必要です
③損失の繰り越しも確定申告:国税庁によると、上場株式等の譲渡損失は翌年以後3年間繰り越せます
④通算できないものもある:NISA口座の損失やFXなどは、株式の損益とは通算できません


4.2 まずやっておきたいこと


まずは、自分の口座が「源泉徴収あり」か「なし」か、配当金の受け取り方法が「株式数比例配分方式」になっているかを確認してみましょう。
そのうえで、損失が出た年は「申告するとどうなるか」を一度試算してみると、繰越控除を使うかどうかの判断がしやすくなります。


税金の仕組みは少し複雑ですが、知っているかどうかで手元に残るお金が変わることもあります。わからない点は、税務署や証券会社の窓口で確認しながら進めていきましょう。


口座の設定を確認して、損が出た年はちゃんと申告を考えればええんやね。だいぶわかってきたわ!
その通りです。仕組みを知っておくだけで、いざというときに落ち着いて対応できますよ。無理のない範囲で、少しずつ慣れていきましょうね。

最後までご覧いただきありがとうございました。




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