傷病手当金の仕組みをやさしく解説|会社員が病気やけがで休んだときのお金と申請の確認ポイント

会社員が業務外の病気やけがで仕事を休み、給与が出なくなったときに健康保険から支給される「傷病手当金」について、受け取れる条件、金額の決まり方、支給される期間、申請の流れと気をつけたい点を順番に整理します。こんにちは。もりおです。「もし長く入院したら、その間の生活費はどうなるんやろ…」と不安に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。民間の医療保険を考える前に、まずは会社員が加入している公的な保障の中身を確認しておきましょう。
・病気やけがで仕事を休んだときの収入が心配な会社員の方
・傷病手当金という言葉は聞いたことがあるが、仕組みをよく知らない方
・休職中や休職を検討していて、申請の流れを確認したい方
・民間の医療保険や就業不能保険の必要性を見直したい方
1. 傷病手当金とはどんな制度か
1.1 健康保険から支給される「休業中の生活費」
傷病手当金は、会社員や公務員などが加入する健康保険の給付のひとつです。全国健康保険協会(協会けんぽ)の公式サイトによると、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度とされています。
病院でかかった医療費の負担を軽くする「療養の給付」とは別に、働けない間の収入の減少を補う役割を持っている点が特徴です。医療費と生活費の両面から支える仕組みがあると理解しておくとわかりやすいでしょう。
1.2 対象になる人・ならない人
対象になるのは、勤務先の健康保険(協会けんぽや各企業の健康保険組合、共済組合など)に被保険者として加入している人です。正社員だけでなく、条件を満たして社会保険に加入しているパートやアルバイトの方も対象に含まれます。
一方で、自営業やフリーランスの方などが加入する国民健康保険では、傷病手当金は法律上の任意給付とされており、多くの市区町村では通常の病気やけがについては設けられていません。また、健康保険の被扶養者として加入している家族は、本人として傷病手当金を受け取る対象にはなりません。
1.3 仕事中のけがは労災保険の対象
傷病手当金の対象は「業務外」の病気やけがです。仕事中や通勤途中のけが・病気は、原則として労災保険の休業補償給付などの対象になります。どちらの制度に当たるのかによって申請先が変わるため、まずは原因が業務上か業務外かを確認することが大切です。
2. 傷病手当金を受け取れる4つの条件
2.1 協会けんぽが示す支給条件
協会けんぽの公式サイトによると、傷病手当金は次の条件をすべて満たしたときに支給されます。
①業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること:入院だけでなく、自宅での療養も含まれます。
②仕事に就くことができないこと:医師の意見などをもとに、それまでの仕事ができない状態かどうかが判断されます。
③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと:最初の連続する3日間は「待期期間」と呼ばれ、4日目以降の休んだ日が支給の対象です。
④休業した期間について給与の支払いがないこと:給与が支払われていても、傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給されます。
2.2 待期期間の数え方に注意
協会けんぽの説明では、待期期間は「連続して」3日間休むことで成立し、この3日間には有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれます。給与の支払いがあったかどうかは問われません。
たとえば、2日休んで3日目に出勤した場合は待期が成立しません。一方で、いったん待期が成立していれば、その後に出勤した日があっても、再び同じ病気で休んだ日から支給の対象になります。休み方によって扱いが変わるため、勤務先の担当者と相談しながら記録を残しておくと安心です。
3. 支給される金額と期間の決まり方
3.1 1日あたりの金額の計算方法
協会けんぽの公式サイトによると、傷病手当金の1日あたりの金額は「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」を30で割り、その3分の2に相当する額とされています。
標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の幅で区切った等級にあてはめた金額で、健康保険料や厚生年金保険料の計算にも使われています。ざっくり言えば、普段の給与の3分の2程度が、休んだ日数分支給されるイメージです。自分の標準報酬月額は、給与明細の保険料や、勤務先から届く通知で確認できます。
なお、加入期間が12か月に満たない場合は、本人の標準報酬月額の平均と、加入している保険者の全被保険者の標準報酬月額の平均を比べて、低いほうの額をもとに計算する仕組みになっています。
3.2 支給期間は通算で1年6か月
厚生労働省の発表によると、2022年1月1日から、傷病手当金の支給期間は「支給を始めた日から通算して1年6か月」に改められました。以前は支給開始から暦の上で1年6か月が経過すると終了していましたが、現在は途中で出勤して支給されなかった期間があれば、その分を後ろに延ばして受け取れるようになっています。
がんの治療などで、働きながら入退院を繰り返すような場合でも、制度を使いやすくなったといえます。ただし、同じ病気やけがについての期間であることが前提です。
3.3 ほかの給付との調整
協会けんぽの案内では、同じ病気で障害厚生年金を受けている場合や、出産手当金を受けている場合などには、傷病手当金が支給されない、または差額のみの支給になるといった調整があります。退職後に老齢年金を受け取っている場合も調整の対象です。複数の給付を受けられそうなときは、事前に保険者や年金事務所へ確認しておくとよいでしょう。
4. 申請の流れと気をつけたいポイント
4.1 申請に必要な3つの記入欄
協会けんぽの場合、「健康保険傷病手当金支給申請書」を使って申請します。申請書は大きく分けて、本人が書く欄、医師が労務不能であることなどを書く「療養担当者記入欄」、勤務先が出勤状況や給与の支払い状況を書く「事業主記入欄」で構成されています。
一般的には、本人が申請書を用意し、医師と勤務先に記入を依頼したうえで、勤務先経由または本人が直接、保険者へ提出する流れです。健康保険組合に加入している場合は様式や提出先が異なることがあるため、勤務先の担当部署や組合の案内を確認しましょう。
4.2 申請のタイミングと時効
傷病手当金は、休業が長引く場合、1か月ごとなど一定の期間に区切って申請するのが一般的です。まとめて申請することもできますが、給付を受けるまでの期間が長くなり、生活費が不足しやすくなります。
協会けんぽの公式サイトによると、傷病手当金を請求できる権利は、労務不能であった日ごとにその翌日から2年で時効により消滅します。手続きを後回しにしているうちに受け取れなくなることがないよう、早めの申請を心がけたいところです。
4.3 退職した後も受け取れる場合がある
協会けんぽの説明では、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしている場合は、退職後も引き続き受け取れる「継続給付」の仕組みがあります。
注意したいのは、退職日に出勤してしまうと、継続給付の条件を満たさなくなる点です。あいさつのためだけに出社したつもりでも対象外になることがあるため、病気を理由に退職する場合は、退職日の過ごし方を事前に確認しておきましょう。
4.4 民間保険を考えるときの視点
傷病手当金があることを知っておくと、民間の医療保険や就業不能保険を選ぶときの判断材料になります。会社員であれば、公的な保障でどこまでカバーされるのかを先に確認し、足りない部分だけを貯蓄や民間保険で補うという考え方ができます。反対に、国民健康保険に加入している自営業の方は傷病手当金がない場合が多いため、働けないときの備えをより意識しておく必要があるでしょう。
まとめ
傷病手当金は、会社員などが業務外の病気やけがで働けず、給与を受けられないときに、健康保険から支給される生活保障の制度です。
①条件:業務外の病気やけがで仕事に就けず、連続3日間の待期を含めて4日以上休み、給与の支払いがないこと
②金額:標準報酬月額の平均をもとに、1日あたりおおむね3分の2相当が目安
③期間:支給を始めた日から通算して1年6か月
④申請:本人・医師・勤務先の記入が必要で、時効は2年
いざというときに慌てないよう、自分が加入している健康保険の種類と標準報酬月額を一度確認し、公的な保障で足りない部分をどう備えるかを考えておくと安心です。具体的な支給の可否や金額は、加入している健康保険の窓口で確認するようにしましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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