TSYY(YieldBOOST TSLA ETF)とは?週次分配・利回りの実態とリバーススプリット後の株価の今後【2026年版】
TSYY(GraniteShares YieldBOOST TSLA ETF)の週次分配・利回りの実態、2026年6月のリバーススプリットの意味、株価が下がり続ける原因と今後の見通しを、2025年の試算の答え合わせも含めて1本にまとめました。こんにちは。もりおです。これまでバラバラに書いてきたTSYYの記事(分配・回収シミュレーション・配当再投資・他のETFとの組み合わせ・株価予測)を、最新の数字で整理し直しています。
・TSYYの週次分配や利回りの実態を知りたい方
・リバーススプリット後の株価の見方がわからない方
・TSYYを保有していて、今後どうするか迷っている方
・高利回りETFを買う前にリスクを理解しておきたい方
1. TSYY(GraniteShares YieldBOOST TSLA ETF)とは?
1.1 基本情報
TSYYは、GraniteShares社が運用する「YieldBOOST」シリーズのETFで、テスラ(TSLA)に関連したオプション取引で得た収入を、週ごとに分配する仕組みの商品です。
①設定日:2024年12月18日
②運用会社:GraniteShares
③分配頻度:週次(2025年6月から週次分配を目指す方針に変更)
④経費率:1.15%(2026年9月時点)
1.2 運用の仕組み
TSYYは、テスラ株の2倍レバレッジETFを対象にプットオプションを売り、その売却代金(プレミアム)を原資に毎週分配しています。売るオプションの行使価格はOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)40%〜ITM(イン・ザ・マネー)10%の範囲、期間は1週間〜1か月です。テスラ株を直接持つ商品ではないため、テスラ株が上がっても値上がりの恩恵を受けにくく、逆に下落局面では大きく値を下げやすい構造です。
2. 週次分配と利回りの実態
2.1 分配額と利回りの推移
①2025年9月9日:1株あたり0.21254ドル(当時の分配率は140.09%、2025年8月15日時点の公式発表)
②2025年10月下旬:1株あたり約0.21ドル(株価7.63ドルで年換算すると利回り約160〜167%)
③2026年6月18日発表分:1株あたり0.2251ドル(リバーススプリット後の株数ベース。当時の年率換算の分配率は50.10%)
④2026年9月25日権利落ち(9月29日支払):1株あたり0.17863ドル(年率換算の分配率は45.63%、2026年9月25日時点)
2.2 分配の約95%は「元本の払い戻し」
2026年9月25日時点で、分配金のうちROC(Return of Capital=資産の払い戻し)の割合は95.17%、実際の投資収益を示す30日SEC利回りはわずか0.83%でした。つまり「分配率45.63%」のほとんどは、投資家自身の元本が形を変えて戻ってきているだけです。
分配率やSEC利回りは、配当の「見た目の大きさ」と「実際の稼ぐ力」の差を知るうえで欠かせない数字です。分配率だけで判断しないようにしましょう。
3. 株価の推移とリバーススプリット
3.1 設定来の株価推移(実質ベース)
①設定時(2024年12月18日):26.15ドル
②2025年11月8日:6.90ドル(下落率73.6%)
③2026年5月27日(リバーススプリット直前):3.09ドル
④2026年6月18日:分割後の表示で23.3〜23.6ドル前後(旧株に換算すると約2.9ドル)
⑤2026年9月18日終値:分割後の表示で20.42ドル(旧株に換算すると約2.55ドル)
⑥設定来の実質下落率:約90.2%(26.15ドル→約2.55ドル、2026年9月18日時点)
3.2 1-for-8リバーススプリットとは
TSYYは2026年5月6日に発表したとおり、6月2日から8株を1株にまとめる「リバーススプリット(株式併合)」後の価格で取引されています。株数が8分の1になり、1株あたりの価格が約8倍になるだけで、保有資産の総額は変わりません。
例:分割前 1,000株 × 3.00ドル = 3,000ドル → 分割後 125株 × 24.00ドル = 3,000ドル
チャート上は株価が急に回復したように見えますが、実態は何も回復していません。株価が低くなりすぎたことへの実務上の対応で、むしろ下落が続いてきたことの裏返しと言えます。
4. 株価が下がり続ける3つの原因
4.1 原因①:テスラ株そのものは大きく下がっていない
テスラ株は2026年9月22日の終値で378.90ドルで、2025年11月(約417ドル)と比べて約9%の下落にとどまります。2025年12月16日には489.88ドルの過去最高値もつけました。テスラ株の下落だけでは、TSYYの大幅な下落は説明できません。
4.2 原因②:レバレッジの逓減効果
2025年11月から2026年9月までの約10か月で、テスラ株が約9%の下落だったのに対し、TSYYは実質で約63%下落しました(2025年11月8日の6.90ドル→2026年9月18日の約2.55ドル)。上下を繰り返す相場では、レバレッジをかけた商品ほど元の水準に戻りにくくなります(逓減効果)。
例:1日目にテスラ+10%でレバレッジ2倍の商品が+20%(100→120)、2日目にテスラ-10%で-20%(120→96)。テスラは元に戻っても、商品は4%減ったままです。
4.3 原因③:オプション売却で値上がりの恩恵が小さい
オプションを売って収入を得る代わりに、テスラ株が上がったときの利益は限られます。先ほどの「分配率45.63%・30日SEC利回り0.83%」(2026年9月25日時点)という数字も、この構造を表しています。
5. 2025年の高配当シミュレーションは当たったのか
2025年秋、このブログではTSYYの高い分配を前提にしたシミュレーションをいくつか公開しました。その後の実際の数字と比べると、前提が大きく崩れたことがわかります。
5.1 「約7〜8か月で元が取れる」試算(2025年11月)
株価7.63ドル・利回り約160%が続くという前提で、「分配だけで元本を回収できるまで約0.63年(7〜8か月)」と試算しました。利回りが80%なら約1.25年、50%なら約2年という幅も示していました。
その後:分配率は2026年9月25日時点で45.63%まで下がり、株価は実質で約2.55ドル(2026年9月18日終値ベース。2025年11月の7.63ドルから約3分の2の下落)になりました。分配の大半がROCだったことも含めると、「株価が維持される」という前提が成り立ちませんでした。
5.2 配当再投資で「1年で約2.6倍」の試算(2025年11月)
初期投資10,000ドル・株価7.63ドル固定・週0.21ドルの分配が続くという前提で、分配を全額再投資すると1年後に約26,700ドルになる、と試算しました。
その後:株価が固定という前提そのものが外れ、株価は実質で大きく下落しました。配当再投資は株数を増やしますが、株価が下がり続ける商品では、増えた株数ごと価値が目減りします。
5.3 TSYY×SPYD×VYMの10年シミュレーション(2025年11月)
TSYY・SPYD・VYMに100万円ずつ投資する10年シミュレーションでは、TSYYの株価下落を年10〜15%と見込んでいました。実際には、試算時(2025年11月・7.63ドル)から2026年9月18日(実質約2.55ドル)までの約10か月で約3分の2下落しており、TSYYについては悲観シナリオよりも厳しい結果になっています。
一方で、このシミュレーションで伝えた「TSYYの比率は小さく抑え、SPYD・VYMなど実績のあるETFで安定性を確保する」という考え方は、今も有効です。
6. TSYYの今後:3つのシナリオ(2026年6月版)
2026年6月時点で、2027年半ばまでの見通しを3つのシナリオで整理しました(価格は旧株に換算した実質値。かっこ内は分割後の表示の目安)。
6.1 楽観シナリオ
テスラ株が450〜500ドルに回復し、ロボタクシーの商用展開が大きく広がる場合。TSYYの予想は実質5〜7ドル(分割後40〜56ドル相当)です。
6.2 標準シナリオ
テスラ株が350〜420ドルのレンジで推移し、逓減効果が続く場合。予想は実質1.5〜3ドル(分割後12〜24ドル相当)です。
6.3 悲観シナリオ
テスラ株が250〜300ドルに下落し、逓減効果がさらに進む場合。予想は実質0.5〜1.3ドル(分割後4〜10ドル相当)です。さらなるリバーススプリットや上場廃止のリスクも排除できません。
7. 保有している人・これから買う人へ
7.1 保有している人の選択肢
①損切りして撤退:購入価格から50%以上下がっている、精神的につらい、他に投資したい銘柄がある場合
②分配を受け取りながら保有を続ける:テスラの長期的な成長を信じていて、少額で生活に影響がない場合(分配の約95%がROCであることを理解したうえで)
③半分売却して様子を見る:リスクを半分に減らしつつ、今後の好材料にも備えるバランス型
いずれの場合も、リバーススプリット後の「見た目の価格」ではなく、旧株に換算した実質の価格で損益を確認しましょう。
7.2 これから買おうか迷っている人へ
ここまで見てきたとおり、分配のほとんどが元本の払い戻しで、株価が下がりやすい構造は変わっていません。初心者の方や長期目的の方は、今は見送るのが無難です。どうしても買う場合も、ポートフォリオの5%程度までにとどめ、損切りのルールを先に決めておきましょう。
同じGraniteSharesのYieldBOOSTシリーズでも、個別株ではなく株価指数を対象にしたものは、結果が大きく違います。YSPY(S&P500の3倍レバレッジETF「SPXL」のプットを売る)の過去1年のトータルリターンは+13.70%(2026年8月28日時点)、TQQY(ナスダック100の3倍レバレッジETFのプットを売る)は+2.10%(2026年9月24日時点)でした。週次分配型のETFを比べたい方は、毎週お金が増える米国ETF4選の比較記事もご覧ください。
8. ワイが保有していたときの体験
ワイは2024年12月の設定直後からTSYYを保有していました。毎週分配が入ってくるのは正直うれしく、モチベーションにもなりました。ただ、株価の上下は想像以上に激しく、分配を受け取っていてもトータルではマイナス、という状態が続きました。
そこでまず「半分を損切りして撤退」「残り半分は分配を受け取りながら保有」「損切りした資金はJEPI・VYMに振り分ける」という判断をしました。残した半分もその後さらに目減りしたため、最終的には残りも手放し、今は保有していません。「もっと早く全部手放しておけばよかった」という後悔もあります。一方で、JEPI・VYMに移した資金は安定した配当を生み続けていて、精神的な負担はかなり軽くなりました。
もう一度買うことを検討するとしたら、その条件は①テスラのロボタクシーが10都市以上で商用運行を開始、②NHTSAの調査が「重大な懸念なし」で終了、③TSYYの実質株価(旧株換算)が5ドルを超えて上昇トレンドに転換、の3つです。今のところ、これらの条件はそろっていません。
9. まとめ
①分配:分配率は2025年の140〜160%台から、2026年9月25日時点で45.63%に低下。分配の95.17%はROC(元本の払い戻し)で、30日SEC利回りは0.83%
②株価:2026年6月2日から1-for-8のリバーススプリット後の価格で取引。見た目の価格は約8倍になったが資産価値は不変で、設定来の実質下落率は約90.2%(2026年9月18日時点)
③下落の原因:テスラ株そのものではなく、レバレッジの逓減効果とオプション売却による上値の制限
④2025年の試算:「株価が維持される」前提が崩れ、回収・再投資・10年シミュレーションはいずれも想定より厳しい結果に
⑤これから:保有中なら実質の価格で損益を確認して判断を。新規購入は見送るのが無難で、分配目的なら実績のあるETFを中心に
分配率の数字に惑わされず、株価を含めたトータルリターンで判断することが何より大切です。
※この記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。本記事の数値は、それぞれに記載した時点の公開情報に基づくもので、将来の分配や株価を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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