TSYY×SPYD×VYMで資産3倍は可能?10年後を3シナリオで徹底検証してみた
こんにちは。もりおです。今回は、性格の異なる3つの米国ETF「TSYY(超高配当レバレッジ)・SPYD(高配当)・VYM(安定配当)」を均等に配分して投資した場合、10年後の資産がどうなるかシミュレーションしてみました。
・複数ETFの組み合わせ投資を検討している方
・リスクとリターンのバランスを知りたい方
・10年後の資産形成をシミュレーションしたい方
1. 3つのETFの基本データ(2025年10月時点)
1.1 TSYY(GraniteShares YieldBOOST TSLA ETF)
配当利回り:約167%
株価:7.63ドル
配当頻度:毎週
経費率:1.07%
特徴:テスラ株2倍レバレッジ+オプション戦略で超高配当を実現。設定来約70%の株価下落を記録。超ハイリスク・ハイリターン型。
1.2 SPYD(SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF)
配当利回り:約4.4%
株価:44.28ドル
配当頻度:年4回(四半期)
経費率:0.07%
過去8年トータルリターン(年平均):約6.5%
特徴:S&P500の高配当80銘柄に均等投資。金融・不動産セクター中心で景気敏感。株価成長は控えめだが配当は安定。
1.3 VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF)
配当利回り:約2.9%
株価:約127ドル
配当頻度:年4回(四半期)
経費率:0.06%
過去10年トータルリターン(年平均):約8.0%
特徴:約530銘柄への広範囲分散投資。配当成長と株価上昇のバランス型。長期投資の王道ETF。
2. シミュレーション条件の設定
2.1 初期投資額と配分
総投資額:300万円(約20,000ドル、1ドル=150円換算)
TSYY:100万円(約6,667ドル)
SPYD:100万円(約6,667ドル)
VYM:100万円(約6,667ドル)
配当再投資:あり(毎年受け取った配当を3つのETFに均等再投資)
為替:1ドル=150円で固定(為替変動は考慮しない)
税金:米国10%+日本20.315%=約28%を控除
2.2 3つのシナリオ
10年後の資産を予測するため、3つのシナリオを設定します。
【楽観シナリオ】市場が好調な場合
・TSYY:配当利回り維持、株価年5%回復
・SPYD:配当利回り4.4%維持、株価年4%成長
・VYM:配当利回り2.9%維持、株価年6%成長
【標準シナリオ】過去実績ベース
・TSYY:配当利回り100%に低下、株価年▲10%下落
・SPYD:配当利回り4.4%維持、株価横ばい
・VYM:配当利回り2.9%維持、株価年4%成長
【悲観シナリオ】市場が不調な場合
・TSYY:配当利回り50%に低下、株価年▲15%下落
・SPYD:配当利回り4.4%維持、株価年▲2%下落
・VYM:配当利回り2.9%維持、株価年1%成長
3. 10年後の資産シミュレーション結果
3.1 楽観シナリオ(市場好調)
■ TSYY
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約163万円
累積配当金(税引後・再投資込):約780万円
合計:約943万円
■ SPYD
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約148万円
累積配当金(税引後・再投資込):約42万円
合計:約190万円
■ VYM
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約179万円
累積配当金(税引後・再投資込):約27万円
合計:約206万円
ポートフォリオ合計:約1,339万円
リターン:+346%(初期投資300万円→1,339万円)
3.2 標準シナリオ(過去実績ベース)
■ TSYY
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約35万円
累積配当金(税引後・再投資込):約520万円
合計:約555万円
■ SPYD
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約100万円
累積配当金(税引後・再投資込):約36万円
合計:約136万円
■ VYM
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約148万円
累積配当金(税引後・再投資込):約25万円
合計:約173万円
ポートフォリオ合計:約864万円
リターン:+188%(初期投資300万円→864万円)
3.3 悲観シナリオ(市場不調)
■ TSYY
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約20万円
累積配当金(税引後・再投資込):約260万円
合計:約280万円
■ SPYD
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約82万円
累積配当金(税引後・再投資込):約34万円
合計:約116万円
■ VYM
初期投資:100万円
10年後株価評価額:約110万円
累積配当金(税引後・再投資込):約23万円
合計:約133万円
ポートフォリオ合計:約529万円
リターン:+76%(初期投資300万円→529万円)
4. シミュレーションから見えた3つの真実
4.1 TSYYは配当製造マシンだが株価リスク大
3つのシナリオすべてで、TSYYが圧倒的な配当収入を生み出しています。楽観シナリオでは780万円、標準シナリオでも520万円の配当を生成。しかし、株価は標準シナリオで65%減、悲観シナリオでは80%減と大幅に下落します。
結論:TSYYは「配当収入を得ながら徐々に資産を食いつぶす」戦略。長期保有には向かない。
4.2 SPYDは配当と株価のバランス型
SPYDは3つの中で最もバランスが取れています。標準シナリオでも株価がほぼ維持され、配当も毎年安定して得られます。ただし、株価成長は期待できないため、トータルリターンは控えめです。
結論:SPYDは「安定した配当収入を得ながら、元本をある程度守る」戦略に最適。
4.3 VYMは地味だが最も安定
VYMは配当利回りが最も低いですが、株価成長が堅実で、悲観シナリオでもプラスを維持。長期投資の王道として、ポートフォリオの安定性に大きく貢献しています。
結論:VYMは「配当+値上がり益」の両面を狙える、長期投資の最適解。
5. 投資目的別おすすめ配分
5.1 攻めの配当収入重視型
配分:TSYY 30% / SPYD 30% / VYM 40%
特徴:配当収入を最大化しつつ、VYMで安定性を確保
向いている人:短期〜中期で配当収入を増やしたい、リスク許容度が高い人
5.2 バランス重視型
配分:TSYY 20% / SPYD 30% / VYM 50%
特徴:配当と株価成長をバランス良く狙う
向いている人:今回のシミュレーション条件。初心者〜中級者向け
5.3 守りの安定型
配分:TSYY 10% / SPYD 30% / VYM 60%
特徴:VYM中心で安定性を最重視、TSYYは少額のスパイス程度
向いている人:長期投資でリスクを抑えたい、元本割れを避けたい人
5.4 超保守型(TSYY抜き)
配分:SPYD 40% / VYM 60%
特徴:TSYYを除外し、実績のある2つのETFのみで運用
向いている人:ハイリスクETFは避けたい、安定第一の人
6. シミュレーションの注意点
6.1 このシミュレーションの前提条件
・為替レートを1ドル=150円固定で計算(実際は変動する)
・税金を一律28%で計算(外国税額控除は考慮せず)
・経費率は考慮済み
・配当利回りは一定または段階的に変化すると仮定
・市場の暴落・暴騰は考慮していない
6.2 TSYYの配当継続性リスク
TSYYは設定から1年未満の新しいETFです。10年後も同じ配当戦略を続けているとは限りません。オプション戦略の失敗や、テスラ株の長期低迷により、配当が大幅に減少する可能性があります。
6.3 レバレッジETFの逓減効果
TSYYのようなレバレッジETFは、株価が上下を繰り返すと「逓減効果」により資産が目減りします。これは今回のシミュレーションでも年率マイナス10〜15%として織り込んでいますが、実際はさらに悪化する可能性もあります。
7. 実践!効果的な運用方法
7.1 年1回のリバランスが重要
3つのETFを保有していると、株価変動によって配分比率が崩れます。例えば、TSYYが大きく下落し、VYMが上昇すると、当初の1:1:1から大きくずれます。年に1回、配分比率を元に戻す「リバランス」を行うことで、リスクをコントロールできます。
7.2 配当の使い道を決める
配当を受け取ったら、以下の3つの選択肢があります。
①全額再投資:複利効果を最大化(今回のシミュレーション方式)
②一部を生活費に:配当収入を実感しながら運用
③別のETFに投資:さらなる分散を図る
7.3 TSYYは2〜3年で見直す
TSYYのような超高配当レバレッジETFは、長期保有には向きません。2〜3年ごとに見直し、株価が想定以上に下落している場合は、売却してSPYDやVYMに移すことも検討しましょう。
8. 実際にワイが運用してみた感想
8.1 配当収入の喜びと株価下落の苦悩
ワイも実際にTSYY、SPYD、VYMを保有していますが、正直なところ複雑な気持ちです。TSYYから毎週配当が入ってくるのは確かに嬉しいのですが、株価が買値から30%以上下がっているため、「配当もらってるけど、トータルではマイナス…」という状況になっています。
8.2 SPYDとVYMの安定感
一方で、SPYDとVYMは株価も比較的安定しており、配当も四半期ごとにコンスタントに入ってきます。「やっぱり実績のあるETFは違うな」と実感しています。
8.3 ポートフォリオ全体で見る重要性
TSYYだけ見ると「失敗したかも…」と思いますが、ポートフォリオ全体で見ると、SPYDとVYMがしっかり支えてくれているので、トータルではプラスを維持できています。これが分散投資の力です。
9. まとめ
TSYY・SPYD・VYMを均等配分した10年後の資産シミュレーション結果をまとめます。
【楽観シナリオ】初期300万円→1,339万円(+346%)
【標準シナリオ】初期300万円→864万円(+188%)
【悲観シナリオ】初期300万円→529万円(+76%)
3つのシナリオすべてでプラスを達成できる見込みですが、その内訳を見ると「TSYYは配当製造マシンだが株価は大幅下落、SPYDとVYMが安定性を支える」という構図が明確です。
初心者へのアドバイス
・TSYYの比率は10〜20%程度に抑える
・SPYDとVYMで安定性を確保する
・年1回のリバランスを忘れずに
・配当だけでなくトータルリターンで判断
・2〜3年ごとに戦略を見直す
高配当ETFは魅力的ですが、リスクもしっかり理解した上で、自分のリスク許容度に合わせた配分で運用することが成功への近道です。少額から始めて、徐々に自分に合ったポートフォリオを作っていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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